未来の通貨は、それ自体が利益を生み出しうるものでなければならない

未来の通貨は、それ自体が利益を生み出しうるものでなければならない。

僕はそう考えている。

プラチナを通貨とする場合を考えよう。この通貨は、それ自体が工業的に役立つ重要な素材である。蓄えたプラチナをそのままリース市場に公開すれば、それを活かせる人が対価を払って借りていくことが期待できる。借りた人は一定期間提供されたプラチナを化学工業や燃料電池における触媒として利用し、いらなくなったときに鋳もどして返却すればよいのである。

ある期間プラチナを持つ人が、それを使うことで利回りを生み出せるという見通しが、プラチナの価格に反映される。プラチナから引っ張り出される付加価値程度にプラチナの価格は上昇し、他の経済活動の方が生み出される付加価値が大きいとみなされる場合にはプラチナの市場価格が下落する。

プラチナのような貴金属の場合、近い将来に採掘不能になることが明らかだから、すでに有限な資源として考えることができるし、今後はその性質が高まっていく。通貨として出回るのと同時に、借りて、使って、返す、というサイクルが自動的に生じるならば、価格はおのずと安定していくはずである。そうなったときには単に希少である以上に、投機的な思惑で上下する現在のゴールドよりもさらに、通貨として性質を帯びるははずだと期待する。

工業貴金属はリサイクル市場が成熟することによって、将来的に通貨になると僕は確信している。逆に、通貨性を失っていくであろうものがある、仮想通貨やフィアット通貨、それほどではないにしてもゴールドである。

仮想通貨やフィアット通貨は、それ自体がなんら工業的成果を生み出さない。ただ希少性と、後者においては徴税システムによって価格を維持している。このような通貨は、やがて所有する意味が薄れていくはずだ。

今後、発達したオンラインソフトウェアがあらゆる商品の交換レートを自動的即時的に算出するようになるだろう。そのように十分に市場が成熟した将来において存在するのは物々交換であって、通貨とは単にある時点での財産の大小を評価するための基準でしかなくなる。そこでは、通貨建てで決算することにはほとんど意味がない。そうする必要がない上に、そうすることによってわざわざ課税のリスクを増やしてしまうことになるからである。むしろ、現在の自分の投資行動が簡単で安定した投資行動とくらべてマシなのかそうでないのかにこそ興味は集中するはずだ。

よく発達した市場では、工業貴金属がよい価値基準として採用されると思う。それが生み出す利回りよりも自分の持っている資産の利回りはマシなのか悪いのか、それを資産だと思うことにすると増えているのか減っているのか、ということが重要だからだ。

ゴールドには工業的価値があるが、少なくとも現時点では投資需要の方が工業需要よりも高いという点で他の貴金属と比べて特異である。やがて工業貴金属に漸近していくであろうとしても、現時点では仮想通貨や法定通貨に近い性質を帯びていると認めないといけない気がする。

未来の通貨は、それ自体が利益を生み出しうるものでなければならないとすると、工業貴金属建てのゴールドの価格はバブル気味である。(法定通貨建てのゴールドの話をしているわけではない、その比較なら法定通貨よりゴールドのほうがマシだと考えるのは当然として)。だから、金銀比価や金プラチナ比価は長期的に修正される可能性が高い。もちろん、あくまで工業的に作り出せる付加価値によってその相場は決まっていくはずであって、青天井に値上がりするとか〇年前の水準に戻るという目安は言えないのである。

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