僕が金投資をやめてプラチナに移行することをお勧めする理由

僕は、金投資をやっている人に、やめてプラチナに移行することをお勧めしたい。

金本位制とともに捨てられた金

日本では1980年の1月に金の価格は史上最高値である1g=6945円を記録した。ソ連のアフガニスタン侵攻によって、歴史的高値を見せたからだった。しかし、その後の4か月間で3000円/g以上下落した。

さらに20年間も下落トレンドが続いていた金価格は、2000年に入ると、とうとう1g=1000円を割った。今金を買っている人は信じられないかもしれないが、1990年代には、金は「いずれ石ころになる」と揶揄されるほどだったのだ。これが、冷戦後の金の「失われた20年」だった。

最終的に上昇基調が始まるには、1999年の第一次ワシントン協定(金に関するワシントン協定, Washington agreement on Gold)による欧州中央銀行と欧州14か国の中央銀行による合意を待たねばならなかった。

この時の合意事項は以下の5つだ。(参照:三菱マテリアル「マーケット用語ワンポイント解説」,https://gold.mmc.co.jp/market/word/jp22.html)

1.金は今後も世界各国の重要な準備資産であること。
2.上記中央銀行は、すでに決定済みの売却を除いて市場に売り手として参加しないこと。
3.決定済の金売却は、今後5年間にわたり協調プログラムのもとで実施されること。年間の売却量は400トン以下、5年間の合計売却量は2,000トンを超えないこと。
 (この2,000トンには、売却決定済みの1,715トンが含まれている。)
4.署名国中央銀行は、金の貸出、金のデリバティブ取引を拡大しないことにも合意したこと。
5.この協定は5年後に見直されること。

この協定にはIMF、BIS、米国、日本も同意を表明し、これにより全世界の公的保有金の90%近くがこの制限に含まれるところとなった。

いまでこそ各国の国際銀行は金を長期的に買っているが、1980年から1999年までの間は、各国中銀は売り基調であり、保有しているゴールドを一生懸命処分しようとしていたのである。そして、たかだか国際条約によってそれを止めたに過ぎない。

その後、金はふたたび上昇基調に転じ、とくにイラク戦争以降は「有事の金」としてことあるごとに買われ続けている。

金価格はホンモノなのだろうか?

読者にとって気がかりなのは、金価格がはたしてホンモノなのか?ということであろう。

2020年コロナショックさなかのいま、ゴールドが急速に買われているのは各国政府・中銀のとった金融緩和政策によって、ドルや円やユーロといったフィアット通貨(法定通貨)がどんどん発行されていまっているためである。これらフィアット通貨の信認が崩れつつあって、最悪の場合には法定通貨建てのハイパーインフレの懸念までされているから、金価格はぐんぐん上昇しているのだ。

だがちょっと冷静になると、各国の中銀は結果的に買い支える側になっていて、それを見込んだ投機的な買いが入っているという構造がもう20年ちかくにわたって続いているのである。それは本質的にバブルを引き起こしうる構造であり、現在の上昇はまだまだ続く可能性もあれば、プレミアムが剥落する可能性も同時にある。

中銀の買いは、自由な市場における実需に基づく買いとは性質が異なる、あくまで政策による買いなのである。金は石ころではないけれども、それでも、工業需要のほとんどない金属の1つに過ぎない(金の地上在庫の大半は、金庫に眠っている)。はたして、現在の7000円という金価格のうちの大半が、実は中銀が買い占めていることによって生じたプレミアムに過ぎないとしてもなんらおかしな話ではない。

たしかに将来のインフレ懸念があることは間違いない。けれども、だからといって、現状の金価格を肯定できるとは限らないということは注意しておきたい。

仮に通貨ベースのインフレが起こるとしたら、金以外の貴金属やその他のコモディティも、インフレの影響をうけるはずである。しかし、工業貴金属(プラチナ)や卑金属(アルミなど)はまだたいして上昇していない。はたして、インフレ懸念を感じた市場参加者の多くが金以外のコモディティの存在を見落としている可能性は大いにあるのではないだろうか?

もしそうであるなら、たとえば金が下落してプラチナが上昇する、といった修正がどこかで入る可能性がありえる(実際のところ、プラチナはゴールドより稀少な金属なのであるが、今は半値付近で取引されている)し、あるいはそうでないとしても、金が上昇する割合と同程度に今後はプラチナも上昇するだろう。

短期トレンドに乗るなら金、長期的な資産の保全を考えるならプラチナ

これからの時代、本当に法定通貨の崩壊を予想するなら、現時点では金ではなくプラチナを保有しておきたい。(これが20年前なら、金を買えが正解だっただろう)

現状ですでに底値から7倍近い上昇をした金は、おそらく間違いなくインフレをかなり先のぶんまで織り込んでしまっている。一方、いまだ底値圏にあるプラチナは、インフレ懸念による下駄をまだほとんど織り込んでいない。

こういう情勢で、堅実な投資判断は、手持ちのゴールドを決済してプラチナを買うことは堅実な態度だと言える。ゆっくりでもゴールドを利確し、プラチナにポジションを移しておくほうが長期的に安心できると僕は思う。

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