フーリエ変換をなんのためにするのか?
- 周波数特性を見るためである(電機屋)
- 輝線・吸収線を探すためである(天文学者)
- その線幅からドップラー効果が見えるかもしれない(気象屋)
- 変動のタイムスケールからチャンスがつかめるかも?(相場師)
いろいろある。
でも、その本質はなんだろうか?って話をしよう。
フーリエ変換
フーリエ級数ってなんだろうか?「正弦関数の線形和である関数を表現する」というものである。フーリエ変換ってなんだろうか?正弦関数の基本周波数を無限小にした極限におけるフーリエ級数のことだ。
では、なんでジョセフ・フーリエは正弦関数の級数を採用すると幸せになれたのだろうか?っていうことが問題なのだ。
線形空間
我々は「線形空間」という概念をもっている。ある空間において「内積」と「和」が定義でき、そこに線形成が約束されるなら、それは線形空間である。
線形空間はスカラーで表されるかもしれないし、ベクトルで表されるかもしれない。あるいは数学以外の形で表現されているかもしれない。けれども、そこに線形成が認められるなら線形空間である。
線形空間では、その次元と同じ数の「基底」を見出すことができる。それぞれの基底は互いに直行している。つまり、n本の座標軸が互いに直行した空間を想像することができると言っているのである。
フーリエ変換における基底
フーリエ級数において、それぞれの正弦関数は基底である。
フーリエ変換というのは各振動数成分を取り出していること、それぞれの振動数成分の線形和が関数に一致すること、このとき線形和の取り方はただ一通りだけであることが大切なのである。
それを数学の言葉で言えば、正弦関数が基底だということである。
無限次元線形空間
フーリエ空間において正弦関数が基底であるとしたら、その基底の数はいくつあるだろうか?もちろん、無限個である。任意のλに対応する正弦関数が基底だからだ。
フーリエ変換は関数を無限次元の無限個の基底の線形和で表現する変換なのである。
畳み込み積分って何だろう?
フーリエ変換同士の掛け算は、関数同士の畳み込み積分となる。
この演算は何をしていると考えればよいのか?
無限個の基底を持つものとして表現された関数同士の、無限次元空間における「内積」を求める演算に相当する。
内積を求めるのにはどのような意味があるか?この量を、絶対値で割れば、この線形空間における方向余弦が得られる。無限次元空間における方向余弦といってもピンとこないとおもうかもしれないが、これは方向余弦である。
そして、数学の表現を使うなら、関数同士の「相互相関」である。
関数同士の相互相関とは、二つの関数をある無限次元の線形空間に表現し、その空間における方向余弦を求める操作におかならない。
方向がよく一致していれば、方向余弦cosは、1になる。正反対の方向を向いていれば-1となる。直行していれば0となる。